宇土市営境目団地災害公営住宅全体
「宇土市営境目団地災害公営住宅」は、くまもとアートポリスプロジェクトとして取り組んだ災害公営住宅の完成第1号である。 「あんしん」と「あたたかさ」と「ふれあい」のある熊本らしい災害公営住宅を目指し、孤立を防ぐ「つなぎ」の空間が提案された。 災害公営住宅では、単身高齢者や高齢夫婦などの世帯が団地の中で孤立せず、周囲とつながりを持てるような配慮が重要である。 そのため、住戸の中の暮らしの気配が外からも感じられるような工夫や仕掛けが施されている。 住戸前の共有廊下に設けられたくぼんだスペース(アルコーブ)では、住戸内に入らなくても気軽に会話ができたり、洗濯物を干したりと、住人の生活の様子がうかがえる「つながりの場」としての役割を担っている。 建築概要 本プロジェクトの使命は、熊本地震で被災された人たちに、安心して暮らすことができる住環境を提供することである。 災害公営住宅の居住希望者には高齢者が多く、それぞれのくらしが住戸内で閉じて孤立してしまわないような住民相互のつながりをつくる配慮が必要である。 全体の住棟配置計画においては、敷地中央に駐車場を配置し、その周辺に住棟を置き、団地全体の見通しが良く、各住戸へアクセスしやすい構成とした。 住戸は、45平方メートル、60平方メートル、75平方メートルの3タイプがあり、それぞれに南入り、北入りがある。各住棟は、200平方メートルを超えない3戸1、4戸1の長屋型としている。敷地北側の住棟は南入りリビングアクセス、南側の住棟は北入りの住戸とし、すべての住棟が相互に緩やかな見守りが出来るようになっている。 住戸計画では内部のくらしの気配が外ににじみ出てくるような内と外のつながりのつくり方を工夫した。入り口周りに「つながりの場」を設け、わざわざ玄関から入らなくても日常的なふれあいが出来るような場所を用意している。また、内部空間は、南から北へ光や風が通り抜ける一体的な空間づくりを重視し、中央にあるリビングの上に北側からの柔らかい光を取り入れ、通風を促すハイサイドライトを設けている。 また、周辺の既存住宅地と住棟の向きを合わせ、周辺住宅の色とのバランスを考えた色彩計画とし、既存のまちとの環境的な連続性に配慮している。 集会所は、住棟全体を見渡せる位置に配置し、住棟側に大きな縁側を設け、周辺地域住民が気軽に集まる交流の場となることで、住環境の向上を目指している。
通路
内観 建築データ 名 称 宇土市営境目団地災害公営住宅 所在地 熊本県宇土市境目町字帆立町521-1、521-9 熊本県宇土市境目町字西原618-1の一部 主要用途 長屋 事業主体 熊本県、宇土市 設計者 内田文雄+西山英夫 施工者 中村・昭和建設工事共同企業体 株式会社西田電工 敷地面積 敷地1 3,994.46平方メートル 敷地2 469.00平方メートル 敷地3 1,175.03平方メートル 建築面積 敷地1 1,195.01平方メートル 敷地2 105.06平方メートル 敷地3 378.20平方メートル 延べ面積 敷地1 1,098.91平方メートル 敷地2 71.31平方メートル 敷地3 347.85平方メートル 階 数 地上1階 構 造 木造 外部仕上 屋根 Al-Zn合金メッキ着色鋼板t=0.4 嵌合式堅平葺 外壁 窯業系サイディング張t=14の上 外装薄塗材E 杉堅羽目板張t=15WP塗装 施工期間 2018年1月~2018年9月 総工事費 420百万円 設計者:内田文雄(東京都)+西山英夫(熊本市)
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